奈良の世界遺産。蘇我馬子が飛鳥に建立した、日本最古の本格的仏教寺院である法興寺を前身とする寺院。
元興寺は、興福寺から500mほど離れたところにある寺院です。1998年に「古都奈良の文化財」の遺産群の1つとして、世界文化遺産に登録されました。
前身は583年に蘇我馬子が飛鳥(現在の奈良県明日香村が中心地)に氏寺として建立した「法興寺(飛鳥寺)」。日本で初めて本格的な伽藍配置がされた寺院でした。710年に都が平城京へ遷ると、718年には法興寺も移建することになります。平城京での名称は「元興寺」となり、飛鳥に残されたお寺も「本元興寺」と名を変えて存続しました。
平城京内へ移建されると、元興寺は南都七大寺の1つに指定され、東大寺に次ぐ寺各を有することになります。各方面への指導者的な役割を果たしていましたが、律令制が崩壊して平安時代後期にもなると勢力は衰退。東大寺や興福寺の大乗院の支配下に置かれたり、伽藍が解体されたりもしました。中世以降は、浄土信仰の道場や、民間信仰の寺院として存続し、現在に至ります。
元興寺を訪れた際にぜひ見ていただきたいのは、法輪館の五重小塔と、本堂や禅室の屋根瓦です。法輪館の五重小塔は国宝に指定されており、現存する唯一の奈良時代の五重塔と言われています。本堂や禅室の屋根瓦は、飛鳥・奈良時代のものを可能な限り再利用しているのが特徴。赤褐色や黒っぽい瓦が飛鳥時代で、白っぽい瓦が奈良時代のものです。